気密・断熱・換気って、それぞれなに?
家づくりを検討し始めると、「高気密・高断熱」という言葉をよく目にします。さらに最近では「換気」の重要性もあわせて語られることが増えました。
しかし、この3つは似ているようで役割も意味も異なり、それぞれがしっかりと機能して初めて快適な住まいが実現します。今回は、家の性能を支える「気密」「断熱」「換気」について、それぞれの役割や必要性をわかりやすく解説します。
1. 気密とは
気密とは、家の隙間の少なさを表す性能です。壁や天井、床、窓やドアの取り合い部分など、建物には無数の接合部があります。施工精度が低いと、これらの部分から空気が漏れ出し、外の空気が入り込む「すき間風」が発生します。
気密性能を高めることで、冬は暖房の熱が逃げにくく、夏は冷房の涼しさを保ちやすくなります。また、気密性の高い家は計画換気が正しく機能しやすく、花粉やホコリ、外気の湿気なども入りにくくなります。
気密性能は「C値」という数値で表されます。C値が小さいほど、家全体の隙間が少ないことを意味します。日本の一般的な住宅ではC値5.0前後のことも珍しくありませんが、高性能住宅ではC値1.0以下、さらにこだわる工務店では0.5以下を目指します。
2. 断熱とは
断熱とは、外の熱を家の中に伝わりにくくする性能です。夏の強い日差しや外気の暑さを室内に入れない、冬の寒さを中に伝えない役割があります。
断熱は主に壁や天井、床に入れる断熱材によって性能が決まります。断熱材には、グラスウール、セルロースファイバー、発泡ウレタンなど様々な種類があり、それぞれ熱を通しにくい特徴を持っています。また、窓ガラスやサッシの性能も断熱性に大きく影響します。
断熱性能は「UA値」という数値で表されます。UA値が小さいほど、外部に逃げる熱が少ないことを意味します。断熱性能が高ければ冷暖房効率が上がり、光熱費の削減にもつながります。
3. 換気とは
換気とは、室内の空気を入れ替える仕組みのことです。人が生活していると、二酸化炭素や湿気、ホコリ、におい、さらには家具や建材から発生する微量な化学物質が室内に溜まります。
換気が不足すると、カビや結露、空気のよどみが発生しやすくなり、健康にも悪影響を及ぼします。
2003年の建築基準法改正により、すべての新築住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられました。換気方式には大きく3種類があります。
第1種換気…給気も排気も機械で行い、熱交換型なら外気の温度を室温に近づけて取り入れられる
第2種換気…給気を機械で行い、排気は自然に行う(主にクリーンルームなど特殊施設で使用)
第3種換気…給気は自然に行い、排気を機械で行う(コストは低いが室温変化が大きい)
高気密住宅では、計画的な換気がしっかりと機能し、外気温の影響を受けにくく快適な空気環境を保ちやすくなります。
4. この3つはセットで考える
気密・断熱・換気は、それぞれ単独では効果を発揮しきれません。
断熱性が高くても気密が低ければ隙間から熱が逃げ、エアコン効率が落ちます。逆に気密が高くても断熱が弱ければ、夏は暑く冬は寒い家になります。そして、気密と断熱が優れていても換気が適切でなければ、室内の空気はよどみ、結露やカビの原因となります。
つまり、この3つは「三位一体」の関係です。バランスよく高めることが、快適で健康、そして省エネな住まいを実現する鍵になります。
5. まとめ
気密は「隙間を減らすこと」、断熱は「熱の出入りを減らすこと」、換気は「空気を入れ替えること」。
どれか一つでも欠けると、快適性や省エネ性は半減してしまいます。家づくりの際には、性能値や工法の説明をきちんと受け、3つの性能がバランス良く備わっているかを確認することが大切です。
キノエデザインOSAKAでは、この3つの性能を高い水準で満たすことに加え、自然素材の持つ調湿機能も活かした住まいをご提案しています。冬は暖かく、夏は涼しく、空気まで心地よい「深呼吸する家」を、ぜひモデルハウスで体感してみてください。