自然素材ってなに?ビニールクロスとの違いを解説
注文住宅やリノベーションを検討する際に、「自然素材を使った家づくり」という言葉をよく目にするようになりました。でも、そもそも自然素材とはどんなもので、一般的なビニールクロスとは何が違うのでしょうか?このコラムでは、自然素材とビニールクロスの違いを、内装材を例にしてわかりやすく解説します。
自然素材とは
自然素材とは、その名の通り、自然界に存在する素材を加工して使ったものです。化学的な添加物をなるべく含まず、自然の風合いや特性を活かしているのが特徴です。
住宅に使われる自然素材として代表的なのは、以下のようなものがあります。
漆喰や珪藻土などの塗り壁材
無垢材のフローリングや天井板
和紙や布を使った壁紙
自然塗料や植物性ワックス など
これらは見た目の美しさだけでなく、調湿性や消臭性など、素材そのものが持つ性能を活かして室内環境を整える役割も担っています。
一方、ビニールクロスとは?
ビニールクロスとは、壁や天井の仕上げ材としてもっとも一般的に使われている素材で、「量産クロス」とも呼ばれます。塩化ビニル樹脂を主成分としたシートに紙を裏打ちし、プリント加工やエンボス加工を施して作られています。
耐久性があり、水拭きで簡単に掃除できる点がメリットで、価格も安く施工性も高いため、新築住宅やマンションで多く使われています。
ただし、ビニールクロスは基本的に「通気しない」素材です。表面がビニールで覆われているため、湿気を吸ったり吐いたりすることができません。これが、結露やカビ、室内空気のよどみにつながる要因になることもあります。
自然素材とビニールクロスの違いとは?
自然素材とビニールクロスを比べると、いくつかの明確な違いがあります。
【調湿性】
自然素材(特に漆喰や珪藻土など)は、室内の湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥しているときは湿気を放出する「調湿作用」を持っています。これは室内を快適な湿度に保ち、結露やカビの発生を抑えるのに効果的です。一方、ビニールクロスは湿気を通さないため、こうした作用は期待できません。
【素材の安全性】
自然素材は、化学的な添加物が少ないため、シックハウス症候群のリスクを抑えることができます。特に小さなお子様やアレルギー体質の方にとっては、安心できる素材と言えるでしょう。ビニールクロスも近年はホルムアルデヒド対策などが進んでいますが、接着剤や施工方法によっては化学物質の影響が残ることがあります。
【メンテナンスと経年変化】
自然素材は、時間とともに色味や質感が変わっていく「経年変化」を楽しむことができます。たとえば無垢材の床は、使い込むほどに味わいが増します。漆喰壁も、少しの汚れや傷であれば部分的に補修でき、長く使うほど愛着が湧いてくる素材です。一方で、ビニールクロスは年数が経つと接着剤が劣化してはがれやすくなったり、継ぎ目に汚れが目立つこともあります。
【コストと施工】
自然素材は材料費がやや高く、職人による手作業が必要なため、初期コストはビニールクロスよりも高くなります。しかし、長期的に見ればメンテナンス性や耐久性を考慮して、結果的にコストパフォーマンスが良くなるケースも少なくありません。
自然素材を選ぶという価値
家づくりで自然素材を選ぶということは、単に見た目の好みや健康面の配慮にとどまりません。室内の空気環境を整え、日々の暮らしを快適に保つための「住まいの質」を左右する選択でもあります。
自然素材を取り入れた住まいは、目に見えない部分での快適さや安心感を与えてくれます。「何となく空気がいい」「ほっとする」といった感覚は、素材の力が生み出すもの。毎日過ごす空間だからこそ、素材にこだわる価値があるのです。
自然素材には、心と体をゆるめる力があります。見た目の美しさだけでなく、「住んでからの気持ちよさ」を大切にしたい方には、ぜひ一度選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。